僕はちょうど、メールをチェックしているときだった

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「ねぇ、3分だけでいいのよ。」 女は、自分の爪を点検しながら、べつだん興味なさそうにそう言った。「なにも3分くれたからって、あなたのメールボックスが爆発するっていうんでもないでしょう?」

僕はちょうどパソコンでメールをチェックしているときで、ふいに現れた魅力的な女性に、興味を引かれないわけにはいかなかった。

「あなた、給料はいくらもらってるの?」突然のぶしつけな質問に僕は面喰い、抗議しようとしたが、彼女は人差し指を口の前に立ててそれを制止し、なおも続けた。

「せいぜい30万ってとこかしらね」そんなことはない、36万もらってる、と僕は思わず答えてしまってから、少し後悔した。30万だろうが36万だろうが、平均的サラリーマンの域を出ないことは明白だからだ。女は「そうなの」と、意外でもなさそうに一人でうなづいた。

「あなたは、それで満足しているの?その、今の給料で?」

ばかにしているわけでもないごくごく中立的なその口ぶりに、そりゃあ、あと10万ぐらいあったら素敵だろうな、と正直につぶやく。だって、あと10万あったら、もっと広い家に引っ越せるし貯金して新車だって買えるだろうから。

女は、しばらく何か迷ったそぶりを見せていたが、やがて意を決したように言った。「給料にプラスして、、そうね、50万くらいなら簡単に手に入れられるやり方があるんだけど」

またこの手の話か、と僕は思った。"1日10分の作業で月100万円!"、とか"黄金のサイフでパチンコが出ました!"とか、低俗な雑誌の後ろに載っているアヤシイ広告の類は
飽き飽きするほど目にしていた。それでもなぜか続く話を聞いてしまったのは、その女の持つ不思議な雰囲気が、もしかしたら本当かも、と僕に思わせたからだろう。女は続けた。

「この男性はね、決めたの。なにがなんでも絶対に塾生を稼がせる、って。だからこそ、そのためのシステムを全部作り上げたし、あなたがやることだって、本当にシンプルなことしか残ってないの。だって後は阿部さんが全部やってくれるから」そのとき、今までクールで何を考えているかわからなかった女の目に、涙が浮かんでいるのが見えた。かすかに震える彼女の声に、僕は、鼓動が早まるのを感じていた。僕は何か質問をしなければいけない気がして、こう聞いた。

それなら、僕が稼ぐためには何をすればいいのか、と。

彼女はうれしそうに顔を上げ、答える。

「あなたは、本屋に行くの。手ぶらで行っちゃだめよ。『魔法のメガネ』を絶対忘れないでね。そして、あとは、見えているお金を拾えばいいのよ。それで月50万円は稼げるはずだから」 ここへ来て、『魔法のメガネ』だ。僕はまじめに聞いたことを後悔して、もう帰ってくれ、と追い返そうとした。

彼女の手に握られた、『魔法のメガネ』を目にするまでは・・・

結局、僕はその日、入塾を決意した。彼女から見せてもらった説明ページ↓を読み、動画を見た後はもう迷いは無かった。ただ人数が定員に達していないことだけをひたすら願った。良い予感はしていたし、確信めいたものもあった。ただ、その決断が、人生で最高の決断になることに、僕はまだそのときは気づいていなかった。

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